Plus One - First Intention

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展示会ラッシュの繁忙期を終える頃にはクローゼットが混沌としています。家に着く頃には充電を使い果たしたiPhoneの様にただのポンコツとなり、その日着ていた洋服をハンガーにかけたり、畳んで収納ことが出来ずありとあらゆる場所に散乱し始めます。一緒にお仕事をしているブランドの洋服をちょっとずつ買わせてもらっているのですが、塵も積もればということでシーズンを重ねるごとに洋服の山が大きくなっています。どれも思い出だったり、愛着のあるものばかりで買取屋さんやメルカリといった所で手放すことが出来ず、着たいと思い立った時に回収できる範疇の近しい間柄の人に少しずつ渡してクローゼットのボリュームをコントロールしています。実の父も、義理の父も幸いサイズ感が近しいのがせめてもの救いです。

数シーズン袖を通さなかったものは一旦誰かに渡そう。マイルールを定めてからというもの、繁忙期後のクローゼットの整理のタイミングで所持している服を見直します。サイズが合わなくなったもの、今の持ち合わせの靴やそのシーズンの4番バッター的なアウターとフィットしないもの、どれも気に入ってはいるものの全てを手元に残し続けることは難しいのでレンタル移籍させていきます。

その中でも着用の頻度は買った当初よりも少なくなっても、絶対にシーズンを通して1回は着ているアイテムが出てきます。マイクローゼット界のベテラン勢です。その代表格がtoneのニット。元々ニット5型でコレクションをスタートした言わばブランド、デザイナーにとっての初期衝動的なアイテムで1stシーズンでオーダーさせてもらったものも毛玉だらけになっても手元に残しています。今のファッション業界の流れの中ではコートの下に着る室内においての主役の座をスウェットやフリースに奪われていますが、おじいちゃんになっても似合う服なんだろうなと、毎度着るたびに思うタイムレスな逸品です。toneというブランド名には”PLUS ONE”という意味が込められています。”+ ONE”。手持ちのワードローブに一つ上質でミニマムなデザインのアイテムを加えることで着る人の個性を引き立てる。そんなブランドフィロソフィーを掲げてスタートしました。今ではトータルでコーディネート出来るボリュームのコレクションとなっていますが、デザイナーの初期衝動がギュッと詰まったアイテムを手放せる訳がないのです。

伊藤

ProductTakahiro Itotone, Knit